第1話最速上映イベントのレポートをお届け!
2017年4月6日より放送開始のオリジナルTVアニメ『月がきれい』の第1話最速上映イベントが3月20日、東京・飯田橋にて開催された。
この日はレギュラーキャストの千葉翔也(安曇小太郎役)、小原好美(水野茜役)、田丸篤志(比良拓海役)、村川梨衣(西尾千夏役)、東山奈央(薗田涼子役)に加え、監督の岸誠二、そしてプロデューサーの南健(フライングドッグ)が出席。
さらに約15倍の抽選をくぐり抜けた70名の一般ギャラリーが、KADOKAWA富士見ビルの「神楽座」に集まった。
まず一行が向かったのは、神楽座近くにある「東京大神宮」。“東京五社”のひとつとして知られる由緒正しきこの場所で、作品のヒット祈願をするためだ。キャスト・スタッフと来場者全員が拝殿に上がり、厳粛な雰囲気のなか祭礼を受ける。
斎主が祝詞を奏上して巫女が美しく雅な舞を奉納したのち、キャストとスタッフが玉串を神前に捧げた。なおこの「東京大神宮」は、縁結びのご利益で有名な“恋のパワースポット”。中学生の淡い初恋が描かれた『月がきれい』の物語にちなみ、儀式には主人公たちの恋愛成就の願いも込められた。
「神楽座」に戻るとさっそく第1話の最速上映がスタート。5人のキャストもギャラリーと一緒に客席に座り、彼らも初鑑賞という映像に熱い視線を送った。
物語の舞台は埼玉・川越のとある中学校。映像には始業式を迎え、中学3年の始業式を迎えた登場人物たちの姿が丁寧なタッチで描かれていた。本が好きで小説家志望の安曇小太郎と、短距離選手として陸上部に所属する水野茜。
『月がきれい』はこのふたりが互いに相手を意識するに至る流れを見せるところから、物語が始まる。
ピアノを主体としたミニマルかつアンビエントな劇伴を背景に、淡々と優しく進んでいく時間。
ロボットも魔法も登場しない本作の見どころは、まさに「ありのままの中学生」が描かれていることだ。幸せな家庭に恵まれ、友人たちともうまくやっている“普通の”15歳。そんな彼・彼女が、この恋とどう向き合っていくのか。
『月がきれい』は登場人物たちの日常の些事を緻密に描くことによって、物語に文学的なエンターテインメント性をまとわせている。
キャラクターの行動ひとつひとつに、「ああ、わかるわかる」「自分もやってた」とギャラリーたちが微笑む。第1話では小太郎が太宰治のファンであることも明かされたのだが、かの偉人の名文を用いたモノローグも詩的な味を出していた。特に小太郎が手にした太宰の短編「女生徒」は、思春期のリアルを浮き彫りにする本作のテーマと重なっているのではないだろうか。
さて、第1話の上映が終わるとキャストとスタッフが登壇し、作品にまつわるフリートークが始まった。
まずは本作が持つこの独特の空気感について、キャストたちが次々とコメントする。
「この作品は(先に声を演じてから画を描く)プレスコというスタイルで制作していまして、ハッと気付く声や緊張の声など、すごく細かなところまで画とマッチしていると思います。それがとにかく生っぽくて、演じた側としては観ているだけで緊張しましたね(笑)」(千葉)
「あまりアニメっぽくないというか、自然な会話の演技をのびのびとすることができました。中学生の恋愛って、目が合っただけでアッとなってしまうような、そんな距離感やトーンがあると思うんです。だから私も第1話を観て、息遣いがちょっとリアルすぎるなとドキドキしましたね」(小原)
「小太郎くんと茜ちゃんが互いに照れて息だけで会話する感じ。すごく微笑ましかったよね」(東山)
「自然な芝居を意識しすぎると比良拓海というキャラクターを演じるのではなく、ただの田丸篤志になってしまう(笑)。そのバランスが難しかったです」(田丸)
そうなんですよ! 私が演じた千夏は元気で底抜けに明るいキャラクターだったんですが、自然っぽさを意識しすぎると逆にその魅力が薄れてしまうのが難しくて。“やりすぎない”自然さというのを、いちばんに意識していましたね」(村川)
『月がきれい』は「画面の中に映るものに嘘偽りがない」(岸)ことをテーマにした作品だ。
岸監督に言わせれば、「実写でやればいいじゃない、という作品をあえてアニメーションでやっている」のだという。
これについては南プロデューサーも、「アニメは現実にない世界を描くことのほうが得意なフォーマット。
でも『月がきれい』のようなすべてが現実にあるものをアニメにする作品が、そろそろ求められるのではないかと思った」と制作のきっかけを語った。
「みんなが目にしているモノ、日常を切り取るスケッチを徹底しているのが今作なのですが、結果としてほかの作品とは一風変わった味が出ているのかなという手応えはありますね」(岸)
なお、この日はOPテーマ「イマココ」とEDテーマ「月がきれい」が初めて揃って披露されるタイミングでもあった。
双方の楽曲を歌う東山奈央は「OPテーマは小太郎くんの気持ちを歌ったものです。男の子が初めて恋をしていてもたってもいられなくなる感じ。そしてEDテーマは茜ちゃん。夕暮れから夜になりかけた空を見上げて、大切な誰かを思う気持ちを歌っています。『私にとってそれは、まるで月明かり』という作品のキャッチコピーも詞になっていて、作品とすごく密着した楽曲になりました」とコメント。
そしてイベントのラストには、先ほどの「東京大神宮」で主演の千葉が購入してきたおみくじを開封する一幕も。
結果は……「小吉」! 若干リアクションに困る空気が客席に流れるなか、壇上は「放送が終わる頃には大吉にしたいですね」(千葉)「これから一緒に、みんなでこの作品を見守っていきましょう」(小原)と逆に大盛り上がり。よりキャスト陣の結束を高めたのだった。
オリジナルTVアニメ『月がきれい』の放送は4月6日(木)24:00からのTOKYO MXを皮切りに、MBS、テレビ愛知、BS11にて。ぜひ楽しみにしていてほしい。
(写真・テキスト:西原史顕)